デザインのトレースと盗用

- 2015/08/18 (Tue) 23:32
- diary
デザインという仕事に携わっているので、やはり気にかかってしまうのが
オリンピックエンブレムに端を発したデザイン盗用問題。
オリンピックエンブレムに関しては、前の東京オリンピックも踏まえ
日本らしいシンプルさで、らしくていいじゃないかと思ってた。今もそれは変わりない。
今回の一連の報道の中に、
「新しく作らないで招致の時に使っていたやつでよかったんじゃないか」
と乱暴な意見のコメンテーターがいた。
デザイン関連の人ではないし、あくまでも個人の好みで話をしているんだけど
なんじゃそりゃ、と思った。ジャイアン級の乱暴さ。
招致ロゴとエンブレムでは使い方も考え方も違うというのに。
ただ、そんなことを言わせてしまう状況なのが、そもそもなんだけど。
ベルギーの美術館のロゴとはそりゃ形は似ているけれど
デザインの観点から見れば頭文字を考えれば、シンプルであるからこそカブりはある。
ただ色、形、考え方が全然違うものだし、そもそもスケール(オブジェクトの対比など)も
違うので、別モノと思う。美術館とエンブレムじゃお互いに利益問題もないのかなとも感じる。
もちろん、訴えたデザイナーの気持ちもわかる。
ローカルなロゴと世界規模のエンブレムではどちらがメジャーかは明らかだから
私が先に作ってます、あちらが後です!と世界に言いたいだけなんじゃないかな、とも。
エンブレムは日本的で、美術館ロゴはとてもヨーロピアンだと思う。
ここまではいい。デザイナーと代理人とオリンピック委員会が解決するだけだ。
問題は、その話にサントリーのトートバックのデザインの話がからんでしまったこと。
さらに他にもあるあると、デザイン盗用疑惑が出ていること。
トートバックのデザインはあまりにもお粗末な話で
大きな名のあるデザイナー事務所がやるなんて、まさかという感じ。
サイト上の写真をそのまま流用して使うとか、
有名なイラストレーターのパクりも相当お粗末だった。
なんでも仕事しますのならず者の「自称」デザイナーが
安い仕事を数こなしていて貧乏で寝てなくてバレないだろうと
やってしまうなら・・・・わかる気もする。
それ位、邪道でばかばかしくてまっとうな判断のない行動なのだ。
サントリー相手にそんなことするなんて、ここだけじゃなく以前から
もう何かがおかしくなっていたとしか思えない。
私も仕事を依頼される際に、
「これに似た感じで作ってください」と具体的な広告やイラストを見せられることがある。
これがかなりしょっちゅう、ある。
クライアントの要望なのでハイハイと聞きつつも
配置、色、雰囲気、どれかそのクライアントが気に入っているポイントなのかをとにかく聞いて
真似るのではなく、そこを突出させて、内容にあった違うものを作る。
大体はもととは違うものになり、あれ?という顔を最初される。
ただ要望をくんでいるし、こちらとしてはベストと思うものを作ってはいるので
思ったのとはちょっと違うけど、これでいいですとOKが出ることが多い。
ただ、相手によっては
「全然違う、これにそっくりに作りなおして」と再度要求されることがある。
これがイラストとかデザインそのものだと、もうパクりを作ってください、と言われているようなもの。
ここ数年のタチの悪い仕事はこれが多かった。
パクるわけにはいかないからと、パクってくださいという広告やイラストから
新しいものを展開して生む努力はするけど、ハッキリとパクってください、と頼まれたこともある。
結論から言うと、私は何度か話をしてそれでもパクれと言われたら、その時点で仕事を降りる。
もちろんお金はもらわない。パクりのうまい何でもやるデザイナーに頼んでくださいと言う。
基本、もう2度とそこからは仕事はもらえないし、働いた分は出ないし、
もうふんだりけったりなんだけど、
それは新しいものを作り出せなかった自分の能力の足らなさだから、仕方がない、のだ。
しかし、もう締切間近で降りることさえできなかったことがあった。
その時は「そっくり」に作った。レイアウトと配色がそっくりそのまま。
入っている内容や写真が全然異なる広告だったので、並べても
そっくりじゃないと担当者は言ってだけど、いやいやそっくりでした。
業界も違うし、閉じられたところに使った小規模な広告だったので訴えられずに済んだけれども
今でも思い出すと喉の奥から苦いのがこみあげる。我ながらサイテーの行為だった。
地に落ちていた。くさくさ気分でそのギャラはどうでもいい無駄使いをした。
そっくりに作るのは簡単だ。
ちょっと手を加えて一見はパクりじゃないように見せるのもまた、簡単だ。
デジタルになってからはプロじゃなくても、できてしまう。
新しいものを作り出すことは容易くない。
締切がタイトでいくつも出さなきゃいけない時は、頭を楽な方法がよぎることだってある。
また、どこからが盗用かオリジナルかの境界線が見えない時がある。
特にデザインやイラストで、オリジナリティーの薄い誰にでもウケるものには
もしかしたら盗用かもの落とし穴はいつもぽっかりと空いている。
ただそこに落ちたら、おしまいなのだ。
写真を無断で流用したとか、デザインをトレースしたとか、
信じられないというか、残念でならない。
本当はオリンピックエンブレムとは違う話なのに
どんどんと報道や意見が走って、いろいろな話がひとつになってしまうことも本当に残念。
原因は本人と事務所、そもそもの仕事への考え方に問題があったのだから仕方ないのだけど
パクりのあの国とは違いますよって言えなくなっちゃうな、このままだとね。
オリンピックエンブレムに端を発したデザイン盗用問題。
オリンピックエンブレムに関しては、前の東京オリンピックも踏まえ
日本らしいシンプルさで、らしくていいじゃないかと思ってた。今もそれは変わりない。
今回の一連の報道の中に、
「新しく作らないで招致の時に使っていたやつでよかったんじゃないか」
と乱暴な意見のコメンテーターがいた。
デザイン関連の人ではないし、あくまでも個人の好みで話をしているんだけど
なんじゃそりゃ、と思った。ジャイアン級の乱暴さ。
招致ロゴとエンブレムでは使い方も考え方も違うというのに。
ただ、そんなことを言わせてしまう状況なのが、そもそもなんだけど。
ベルギーの美術館のロゴとはそりゃ形は似ているけれど
デザインの観点から見れば頭文字を考えれば、シンプルであるからこそカブりはある。
ただ色、形、考え方が全然違うものだし、そもそもスケール(オブジェクトの対比など)も
違うので、別モノと思う。美術館とエンブレムじゃお互いに利益問題もないのかなとも感じる。
もちろん、訴えたデザイナーの気持ちもわかる。
ローカルなロゴと世界規模のエンブレムではどちらがメジャーかは明らかだから
私が先に作ってます、あちらが後です!と世界に言いたいだけなんじゃないかな、とも。
エンブレムは日本的で、美術館ロゴはとてもヨーロピアンだと思う。
ここまではいい。デザイナーと代理人とオリンピック委員会が解決するだけだ。
問題は、その話にサントリーのトートバックのデザインの話がからんでしまったこと。
さらに他にもあるあると、デザイン盗用疑惑が出ていること。
トートバックのデザインはあまりにもお粗末な話で
大きな名のあるデザイナー事務所がやるなんて、まさかという感じ。
サイト上の写真をそのまま流用して使うとか、
有名なイラストレーターのパクりも相当お粗末だった。
なんでも仕事しますのならず者の「自称」デザイナーが
安い仕事を数こなしていて貧乏で寝てなくてバレないだろうと
やってしまうなら・・・・わかる気もする。
それ位、邪道でばかばかしくてまっとうな判断のない行動なのだ。
サントリー相手にそんなことするなんて、ここだけじゃなく以前から
もう何かがおかしくなっていたとしか思えない。
私も仕事を依頼される際に、
「これに似た感じで作ってください」と具体的な広告やイラストを見せられることがある。
これがかなりしょっちゅう、ある。
クライアントの要望なのでハイハイと聞きつつも
配置、色、雰囲気、どれかそのクライアントが気に入っているポイントなのかをとにかく聞いて
真似るのではなく、そこを突出させて、内容にあった違うものを作る。
大体はもととは違うものになり、あれ?という顔を最初される。
ただ要望をくんでいるし、こちらとしてはベストと思うものを作ってはいるので
思ったのとはちょっと違うけど、これでいいですとOKが出ることが多い。
ただ、相手によっては
「全然違う、これにそっくりに作りなおして」と再度要求されることがある。
これがイラストとかデザインそのものだと、もうパクりを作ってください、と言われているようなもの。
ここ数年のタチの悪い仕事はこれが多かった。
パクるわけにはいかないからと、パクってくださいという広告やイラストから
新しいものを展開して生む努力はするけど、ハッキリとパクってください、と頼まれたこともある。
結論から言うと、私は何度か話をしてそれでもパクれと言われたら、その時点で仕事を降りる。
もちろんお金はもらわない。パクりのうまい何でもやるデザイナーに頼んでくださいと言う。
基本、もう2度とそこからは仕事はもらえないし、働いた分は出ないし、
もうふんだりけったりなんだけど、
それは新しいものを作り出せなかった自分の能力の足らなさだから、仕方がない、のだ。
しかし、もう締切間近で降りることさえできなかったことがあった。
その時は「そっくり」に作った。レイアウトと配色がそっくりそのまま。
入っている内容や写真が全然異なる広告だったので、並べても
そっくりじゃないと担当者は言ってだけど、いやいやそっくりでした。
業界も違うし、閉じられたところに使った小規模な広告だったので訴えられずに済んだけれども
今でも思い出すと喉の奥から苦いのがこみあげる。我ながらサイテーの行為だった。
地に落ちていた。くさくさ気分でそのギャラはどうでもいい無駄使いをした。
そっくりに作るのは簡単だ。
ちょっと手を加えて一見はパクりじゃないように見せるのもまた、簡単だ。
デジタルになってからはプロじゃなくても、できてしまう。
新しいものを作り出すことは容易くない。
締切がタイトでいくつも出さなきゃいけない時は、頭を楽な方法がよぎることだってある。
また、どこからが盗用かオリジナルかの境界線が見えない時がある。
特にデザインやイラストで、オリジナリティーの薄い誰にでもウケるものには
もしかしたら盗用かもの落とし穴はいつもぽっかりと空いている。
ただそこに落ちたら、おしまいなのだ。
写真を無断で流用したとか、デザインをトレースしたとか、
信じられないというか、残念でならない。
本当はオリンピックエンブレムとは違う話なのに
どんどんと報道や意見が走って、いろいろな話がひとつになってしまうことも本当に残念。
原因は本人と事務所、そもそもの仕事への考え方に問題があったのだから仕方ないのだけど
パクりのあの国とは違いますよって言えなくなっちゃうな、このままだとね。
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